管理者の日記
ここに来る人間は少ない。
昔は、もっと人がいたような気がする。
けれど今は、誰もいない。
植物だけが残っている。
温室の中で、古い器具が錆びていく。
ツタはそれを覆い隠すように伸びている。
私はそれを毎日眺めている。
なぜかは分からない。
ただ、そうしなければならない気がする。
妻はもういない。
娘もいない。
それでも私は、二人がまだここにいるような気がしている。
植物の間から声が聞こえることがある。
気のせいだと思っていた。
最近は、そう思えなくなった。
管理者の日記
私は間違えていた。
ここには私以外の人間はいない。
そう思っていた。
だから今、背後から聞こえる呼吸が誰のものなのか分からない。
振り返ってはいけない。
振り返ってはいけない。
振り返ってはいけない。
もう、ここには私しかいない。
もう、ここには私しか――
妻の声がする。
娘の声もする。
でも二人とも、もう死んでいる。
なら、あれは誰だ?
私は温室の奥へ逃げた。
そこには、古い機械があった。
いつからあるのか分からない。
何のための機械なのかも分からない。
ただ、今日初めて動いた。
機械の中から、何かがこちらを見ていた。
私は怖くなった。
けれど、同時に嬉しくもあった。
ようやく誰かに会えると思ったからだ。
もしこれを読んでいる人間がいるなら。
頼む。
私をここから連れ出してくれ。
私を誰かに戻してくれ。
お願いだ。
ここから出してくれ。
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